関西大学文化交渉学教育研究拠点
「周縁の文化交渉学」国際シンポジウム
周縁と中心の概念で読み解く東アジアの「越・韓・琉」―歴史学・考古学研究からの視座
日時:2011年10月1日(土)・2日(日)
1日目(2011年10月1日) 13:00-18:10
2日目(2011年10月2日) 09:30-14:30
場所:関西大学以文館4階セミナースペース
主催:関西大学文化交渉学教育研究拠点
開催趣旨
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)では、東アジアを「文化」の複合体と捉え、接触や衝突、変容、融合といった相互作用に注目する新たな学問体系「文化交渉学」を提唱し、教育と研究を進めてきた。この中で、ベトナム・韓国(朝鮮)・沖縄(琉球)を専門領域とする研究員は、文化の周縁部に目を向け、東アジアの文化の多様性を読み取る「周縁の文化交渉」に注目した三つのシンポジウム―「フエの文化と歴史:周辺集落と外部との関係からの視点より」(2009年9月、於ベトナム・フエ科学大学)、「陵墓からみた東アジア諸国の位相 -朝鮮王陵とその周縁」(2010年7月、於韓国・高麗大学校)、「船の文化からみた東アジア諸国の位相 -近世期の琉球を中心とした地域間比較を通じて」(2010年10月、於琉球大学)―を各国で開催し、各テーマの比較と検証、そして研究者の交流を行なってきた。本シンポジウムは、その総括としての意味をもつものである。
「周縁」とは、「中心(核)」と対比する概念であり、その設定は様々である。例えば前近代の東アジアにおける漢字や儒教や瓦屋根建築などは中国大陸において成立し、ベトナム・朝鮮・琉球に伝わり、これら三地域において一定の変容を遂げた。この点において、中国を「中心」とした三地域の文化的「周縁性」が見出せる。
その一方で、ベトナム・朝鮮・琉球は、そうした「周縁性」とは別に、みずから周辺地域との関係を築きつつ、歴史と文化を創出してきた。それらを通じて維持・強化されてきたアイデンティティは、各地域の社会・民族・国家(王朝)の「主体性」や「中心性」なくしては存立し得なかったであろう。
本シンポジウムは、この「周縁」と「中心」という、三地域の歴史と文化を突き動かしてきた二つの底流を読み取ろうという試みである。前近代における政治・外交・物質文化をテーマにし、それらが何処に見出せるのか、如何なる形であらわれるのか、何を志向しようとしたのか、を導き出し、相互に比較し、その普遍性と独自性を検証することを目的とする。さらにこれらの議論から、前近代の「東アジア」という空間構造をいかに捉えるべきかを考え、また今日、各地域で継承・発展を続けている「伝統文化」やアイデンティティにも目を向けつつ、現代の東アジア理解における有効な視点を提案したい。
シンポジウムの報告者およびタイトル
第1部 政治
1.桃木至朗(大阪大学大学院文学研究科教授)
中世大越の地方支配~唐宋変革期「小帝国」の比較史への問題提起
2.篠原啓方(関西大学ICIS・COE 特別研究員)
古代朝鮮の政治体制と国際認識―高句麗・新羅を中心に
3.豊見山和行(琉球大学教育学部教授)
近世琉球の政治構造について―言上写・僉議・規模帳等を中心に―
4.質疑応答・コメント
コメンテータ 李成市(早稲田大学文学学術院教授)
第2部 外交
1.清水太郎(鳥取県立公文書館専門員)
北京におけるベトナム使節と朝鮮使節の交流
2.チョン・ダハム(鄭多凾、韓国・漢陽大学校比較歴史文化研究所HK 教授)
“ 小中華”の創出:15 世紀における朝鮮の女真族と対馬島に対する“ 敬差官”の派遣を中心に ※通訳付
3.岡本弘道(関西大学東西学術研究所研究員)
近世琉球の国際的位置と対日・対清外交
4.質疑応答・コメント
コメンテータ 夫馬進(京都大学大学院文学研究科教授)
第3部 物質文化
1.西村昌也(金沢大学国際文化資源学研究センター客員研究員)
ベトナム形成史における“ 南”からの視点:
考古学・古代学からみた中部ベトナム(チャンパ)と北部南域(タインホア・ゲアン地方)
2.ヤン・ジョンソク(梁正錫、韓国・水原大学校人文大学史学科教授)
古代東アジアにおける宮殿の系譜 ※通訳付
3.石井龍太(東京大学総合研究博物館・日本学術振興会特別研究員PD)
瓦と琉球 ~王権、制度、思想、交渉~
4.質疑応答・コメント
コメンテータ 西谷正(九州歴史資料館長・九州大学名誉教授)
総合討論
コメンテータ 村井章介(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
※プログラムの詳細は、ポスターをダウンロードし、ご参照ください。
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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術